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1. アレーナを囲むクラヴァト Arena Oct18 2003 in Pula
イストラ半島の港町プーラの海岸に残る古代ローマの円形闘技場、これを人の首に見立て、外周に赤いクラヴァトを巻くという野外芸術創作が行われました。アレーナと呼ばれるこの円形闘技場は、紀元一世紀ウェスパシアヌス帝の時代に完成したもので、ローマ帝国内のいくつものアレーナの中でも大きく、ほぼ完全な形で残っている貴重な建造物です。正門のところで結び目を作り、剣先を海岸に向かって垂らしたこの巨大クラヴァトは、全長808m、見える部分の最大幅は25m、総表面積は8,250m2です。この生地はザグレブ郊外の縫製工場で織られ、使われた糸の全長は115kmにおよびます。この巨大クラヴァトは、プーラまでの陸路250kmを大型トレーラーで慎重に運ばれました。
ACの綿密な事前企画に沿って、当日は多くのアルピニストたちがロープを使ってアレーナに登攀し、力を合わせて装着しました。その様子は国内外の多くの報道機関により瞬時に世界中に伝えられ、大きな反響を得ると共に、世界最大のクラヴァトとしてギネスブックに登録されました。クロアチアの二つの遺産、古代ローマの建造物と中世クロアチアに起源をもつクラヴァトとを結びつけたこの芸術創作は、ACを主宰するマリヤン・ブスィチの記念すべき作品です。
2. クロアチアを囲むクラヴァト Around Croatia Jul-Aug2006

これはクロアチア国境をクラヴァトで繋ぐイヴェントで、2006年の夏、多くの人々の参加を得て行われました。クラヴァトに見立てた赤い撚り糸は、国境の川岸、平野、山岳、海岸、島々に沿って延々と伸び、その総延長は4,000
km、ドゥブロヴニクでスタートし戻ってくるまでに要した日数は、60日でした。Cravatでその発祥の地Croatiaの国境を囲うというこの芸術創作は、新生クロアチアのアイデンティティを確認する意義深い作業になりました。
3. 麦畑のクラヴァト July2 2007 in Slavonia

クロアチア東部の大平原スラヴォニアの大地にクラヴァトを描こうというこの野外芸術創作は、2007年夏のよく晴れた日にダヴォル村の畑で催されました。よく実った黄金色のライ麦畑は、刈り取られるのを待つばかりでしたが、先ずは発案者マリヤン・ブスィチが地元に伝わる昔からの大きな草刈鎌でクラヴァトの先端を象徴的に刈り、そのあと三台のトラクターが縁を刈り込んでゆきます。民俗衣装の地元民たちの伝統的な歌や踊りと美味しいスラヴォニア料理で楽しく過ごすこと数時間、畑には見事なクラヴァトがしだいに浮かび上がってきます。この黄金色の巨大クラヴァトの大きさは、長さ850m、最大幅230m、面積10万m2。この作業の様子は二台のヘリコプターで上空からつぶさに観察・撮影され、TV局を通じて国内視聴者に紹介され、さらに国際TVネットワークを通して世界に発信されました。この創作活動の趣旨は、主食パンの表象である麦という媒介を使って、人々の共同体、公正、そして世界各地の人々や民族間の連帯を表明しようとするものです。
“麦畑のタイ”は、さらに別の象徴的な意味とメッセージを込めています。大地を耕すという作業は、全体に、人類文明の基本のひとつですが、田畑の働き(agera)と言う言葉から農業(agriculture)が導かれており、象徴的な意味で、人が働く分野という言葉自体が田畑(field)に結びついています。麦は人間の主食であり、身体を養ってくれていることから、その恩恵を決して忘れることはできないし、何らかの形で感謝の意を表わすことが大切です。その意味で麦畑のタイは、大自然への尊敬の念を表すものともいえましょう。この日この10万m2の畑から刈り取られた麦50トンは、国内の流通路に流され、人々の需要に応えました。
ACでは、今後もクラヴァトに関わるさまざまなイベントを予定しています。
いま案にのぼっている創作活動は、次の二つです。
1.ドゥブロヴニク旧市街を囲むクラヴァト Cravate around Dubrovnik

ユネスコ世界遺産の旧市街、2kmにおよぶその市壁をクラヴァトで囲むという野外創作です。剣先は旧港の外まで伸びます。
2.パンノニア海を囲むクラヴァト Cravate around Pannonian sea
現在のスラヴォニアからハンガリー平原一帯は、4億年近く前までは広大な海洋でしたが、それが次第に後退して現在の大平原になったものです。この地は古代ローマでパンノニアと名付けられていたことから、この幻の海はパンノニア海と呼ばれますが、さまざまな痕跡をこの地方に残しています。
かつてのパンノニア海を共有する現在の国々は中欧の10カ国ですが、私たちのこの企画は、これらの国々をクラヴァトで繋ぎ、伝統と文化を共有する人たちの共通のアイデンティティを求めてゆこうとするものです。 |